保険者裁量の一例

事務局長の私は開業17年目の鍼灸師ですが先日、いつもの方から大変嬉しいお電話を頂きました。「うちの両親をお願いします。親父は脳卒中で歩けず自宅から離れられない、しかし、先生の治療を定期的に受けたいと言っている、腰が痛い時以前も先生の治療を受けてから直ぐに楽になった、母親もお願いしたい。母親は歩けるけど膝が痛いというんだ。母親も先生の治療を受けてから足の痛みが取れたからま

たお願いしたい」そんなお電話を頂いたのです。私は直ぐに健康保険が目の前に浮かびました。確認するととても親切な掛かりつけ医、ホームドクターがいるという事でした。よし、同意書を書いて貰おうと思いました。当院では実費が中心ですが必要であれば健康保険を進める事にしてます。また、今年の
6月以降、同意書のハードルが更に上がりましたね。特に鍼灸では「医師の治療手段の無いもの」ということが更に徹底されており今後はさらにこの傾向が強くなっていくでしょう!国の政策としては不正を無くそうという観点と医療費削減の観点から致し方ない部分もあるでしょう。
早速、健康保険を勧めました。理由は自宅で身動きが取れない状況で腰痛症を伴っているという事で往療の理由となり後期高齢者であり健康保険の対象となり得る事という事で医師の同意書を書いて貰うようにお勧めしました。そうしたら奥様の方も一緒に受けたいという事で神経痛や肩こりがある方なので健康保険を適用しても大丈夫か医師に聞いて貰うようにしました。案の定掛かりつけ医の先生は同意書をかいてくれた様子です。このご家族と掛かりつけ医との信頼関係が伺えますね。それだとこちらがわとしても非常に助かるものです。さて、同意書を書いてくれたは良いが・・・果たして・・・こう思った理由は「旦那様の後に一緒に受けたい」という事です。旦那様の場合「往療理由」がきちんと明記されておりますが、奥様は基本歩けるので「通所扱い」が原則です。7歳ほど年の離れた若い奥様ですのでまだお元気な様子で後期高齢者となるにはあと4年あります。
「ここで奥様だけ通院してというのもちょっと・・・しかし・・・健康保険だし決まりはきちんと守らないと。もし、難しい場合には実費扱いで希望に沿った額を合わせて調整するしかないかな?」そんな事を考えていました。考えるよりもまず管轄の「後期高齢者医療広域連合」に聞いてみなければと思い「後期高齢者医療広域連合」に正直に話して聞いてみました・「あのう、旦那様が後期高齢者で脳卒中のため足に不自由があり掛かりつけ医の先生から同意書と往療の許可が出ているが奥様は同意書を貰ったものの歩ける場合通所の扱いとなりますが、この場合、鍼灸院まで通所はしませんが、ご自宅で通所扱いで往療料は取らずに治療して良いですか?」と。
管轄の「後期高齢者医療広域連合」の担当の方は大変親切な方でした。運が良かったと思います。「特に何も書かないで結構ですから、その代わり往療料は奥様の分は算定できないので奥様のみ通所扱いで出して貰えば大丈夫ですよ」と言われホッとました。
この奥様は国保なので管轄の区の国保に同じように聞いてみました。更にどのような回答を頂けるのかと同じく管轄の「全国健康保険協会(協会けんぽ)」にも尋ねてみました。
すると、管轄区の国保では「通所扱いで問題無く通させて頂きますが一つお願いがあります。摘要欄に理由と場所を書いて下さい」という事でした。理由はご主人さんの看病で離れられず、医師の同意の上自宅で治療」と書けば問題無いのか聞いたところそれで問題無いという事でした。
一方、管轄の全国健康保険協会(協会けんぽ)の回答は「通所で出して頂いて問題ございませんよ」という事でした。「摘要欄に理由など書いた方がよろしいでしょうか?」と聞いたところその担当者は「むしろ書かない方が良いと思います。そのまま出せば問題ございません」という回答でした。しかし、この様なケースですと何かあった際に返戻や不支給の対象になった際には非常に困るケースかもしれませんね。保険者側でも言った担当者が責任を取りたくないという問題が生じてしまうケースもあり得ります。この様な場合許可しないというよりは良いのですがきちんと言って頂くと助かりますね。それだけ保険者側も問題が起こった際の責任問題と言う観点から決めかねる部分もあるのかもしれませんね。
また、必ずこの様な場合は通所じゃなければならないという保険者も存在するかもしれません。
被保険者や請求者である私達施術管理者もある程度保険者を理解する必要がありますし、それにより保険者側も被保険者や我々施術管理者に対して柔軟で理解ある姿勢で接してくれるようになる事やはり相互理解がある事が望ましい事だと思います。どちら側にも事情がありますのでお互いそれを詮索したり追及する態度では上手く行くはずもありませんね。お互いの立場を理解し良好な関係を築きたいものです。また、あくまで主役は被保険者であり保険者の間での契約事であり我々施術管理者はあくまでも正確に療養費を取り扱う立場に過ぎないという事実、契約の当事者ではない代理受領、請求、信託の立場という自覚が大切です。それにより中立に且つ利害損得を抜きに毅然とものをいう事が可能になるのです。特に保険者からは私達は自己の利益のために発言しているのではないかと誤解されがちです。しかし前述のような自覚があるからこそ態度や言葉尻から疑わずに保険者も寛容に接してくれ解決に至るケースも多々あります。やはり心構えと正しいズレていない自覚は何より大切な事など思います。



